制作秘話
02
横浜流星の新たなステージへ――
豪華キャスティングも実現
霜介には早い段階から「横浜流星さんしかいない」(北島P)とオファー。北島Pと横浜は映画『オオカミ少女と黒王子』で、いわゆる横浜が大ブレイクする前に仕事をしていた。当時の横浜の決して器用ではないが、演技に対して真面目過ぎるほど真面目なその姿勢は、北島Pの中で強烈に残っていたという。その後の横浜の活躍は今更説明不要だろうが、北島Pを最も驚かせたのは彼の役者としての目覚ましい成長ぶりだった。「ドラマや映画を見ていてもとにかくお芝居が素晴らしく、ものすごく“いい顔”になられているなと。役者としての覚悟のようなものを感じました。『線は~』でオファーをさせていただいた当時は、今ほど作品数も多くはありませんでしたが、小泉監督は若手俳優のまだ眠っている才能を引き出すことにとても長けた監督なので、是非とも流星さんと監督で次のフェーズに行ってみたいと思ったんです」 監督は初めてタッグを組んだ横浜の、「少年のような健全な精神」に一気に好感を持ったという。「僕が横浜さんのキャスティングを聞いた時は、すでにかなりの売れっ子俳優さんという印象でしたが、これだけ人気者なのにも関わらず心が澄んでいるというか、すれたところが全くありませんでした。長年空手をやられていたことも、もしかすると関係しているのかな?最初から最後までとても素直な好青年でしたね」
年下でありながら霜介の水墨画の先輩であり、後によきライバルとなっていく篠田千瑛には『ちはやふる-結び-』で鮮烈な印象を残し、今や国民的女優へと成長を遂げた清原果耶。「『ちはやふる』から約4年振りでしたが、久々にお会いしたらすごく大人びていて驚きました。その落ち着きが今回は嬉しい誤算でもあり、霜介より年下ではあるけれど、絵師としては大先輩であるという千瑛の“先輩感”“達人感”のバランスが素晴らしかった。霜介と千瑛の間の絶妙な距離感……人として好意はあるけれど恋愛ではない、同僚愛のような関係性もうまく表現してくれました」(監督)
湖山、千瑛と共にひとつ屋根の下に暮らす、湖山の気さくな一番弟子=西濱には江口洋介。「江口さんはとても気持ちのいい方。ご本人としては西濱のような気のいい兄ちゃん役が久しぶりだったようで、とても楽しみながら演じてくださったように思います。やはり佇まいに華がありますし、いざとなるとその華を発揮してくださる。少し謎がある西濱にピッタリのキャスティングだったと思います」(監督)
そして水墨画の大家であり、霜介を水墨の世界に招き入れる張本人=篠田湖山には三浦友和がさすがの存在感を示す。「湖山先生もそうですが、三浦さんもあれだけの大御所俳優さんでありながら非常に謙虚な方なんです。普段はあまり目立たないように後ろに構えてらっしゃいますが、ここぞという時には前に出るオーラの調節といいますか。そこはさすがの経験値だなと思ったし、長年最前線でやられている方の真の実力を垣間見た気がしました」(監督)
霜介の過去を知る良き理解者であり友人の古前巧と川岸美嘉には、細田佳央太と河合優実というフレッシュな若手俳優2人、湖山と肩を並べる水墨家の大家・藤堂翠山に富田靖子という豪華布陣も実現した。